ミラノサローネ2024
こんにちはTEAM建装です!
2024年4月16日から20日の5日間、ミラノデザインウィークの視察をしてきました。
イタリアミラノで開催されるミラノデザインウィークは「ミラノサローネ」(https://www.milanosalone.com/)「フオーリサローネ」(https://www.fuorisalone.it/)の二つのイベントの総称になります。
ミラノサローネは今年で62回目の開催、歴史ある世界最大の国際家具見本市です。
展示会場(Rho Fiera)で開催されるサローネに対し、ミラノ市内全域で開催されるのがフオーリサローネになります。
サローネは「イタリア家具工業組合」が主催していますが、今年で35年を迎えるフオーリサローネは単一の主催者が無く、年々規模を拡大しています。
家具ブランドにとどまらず、デザインやアイデンティティを発表する場として様々な企業、デザイナーが参加しています。
Google、Samsung、LG、Audi、BMWなど世界的ブランドや、日本の企業もカリモク、リッツウェル、マルニ木工など家具ブランドはもちろん、レクサス、グランドセイコー、島津製作所、nendo、川島織物セルコン、慶応大学などが参加しています。
来場者数はRho Fieraの入場者数だけで37万人超え、出展者は1950。フオーリサローネの展示も1800を超えており、トータルで4,000弱の展示が行われているといわれています。
家具というプロダクトだけでなく、インテリア全体、車などの工業製品、スタートアップ企業の素材発表など、様々なもののトレンドの発信の場所になっています。
東京ドーム9個分のRho Fiera会場
各企業の最大の取り組みがサスティナブル。
再生素材の使用、アルミ構造(軽量化)、分解可能構造、製品の回収から再生のサーキュラーエコノミー、インパクトレスレザー(石灰やクロム不使用、極限まで水を減らす皮なめし)などの新製品の多くのボリュームをしめている。それらの取り組みは過去のデザインの製品にも反映されている。期間中に発表のあったエルデコデザインアワードのベッド部門、ソファ部門で受賞した「ESOSOFT BED」「Tortello」もデザイン性と環境性の両立がされていることが評価された。
ESOSOFT BED/カッシーナ
Tortello/B&B
各ブランドが足並みをそろえて今年発表したのが、 50年代~80年代を象徴するデザインを再解釈した新作とアーカイブの再提案。各年代で細部は違うが、丸みのあるフォルム、ラッカー塗装による光沢感、モスグリーンやトープカラーがそれらの時代を想起させるポイントになっている。
70年代をイメージした新作
70年代をイメージ
80年代のダウンジャケットから着想
全体的にボリュームが多いのはエクリュだが、注目のカラーは写真の様なブルーグレー。昨年から引き続きバーガンディレッド、テラコッタカラー、グリーンは人気の色。
クラウド/カッシーナ
1919/ポルトロウナフラウ
Flize/カッシーナ
オーガニックをデザインのフォルム、サーフェイスのモチーフにした商品が多い。吹きガラス手法で波紋を表現したテーブル、石のスラブを連ねたようなソファ、花びらを模したコーヒーテーブルなど。インドアとアウトドアの境界をなくすボーダレスデザインが近年多かったが、自然界の景色そのものをプロダクトに取りこむ傾向がある。
GLASS ITALIA
HENRYTIMI
Paola Lenti/nendo
AIを使った家具のデザイン(フィリップスタルクによるディレクションでKartellが発表)や、成形された製品に直接印刷をするグラフィックインプレッションなど、革新的な技術の発表がある反面、川島織物セルコンの糸から色を無くし、黒だけで織りの技術にフォーカスした伝統技術の展示もある。川島は4年連続の出展で毎年人気の展示となっている。
AIチェア/Kartell
ダイレクト印刷
川島織物セルコン/百の黒
家具ブランドの総合化が進んでいる。ここ数年「アウトドア家具」「照明」に参入するブランドは多かったが、高級集合住宅のクローゼット(設え家具)に強いモルテニ、ポリフォルムを追随するようにDePadovaも内装ドアブランドを傘下にいれ内装を強化している。
モルテニはボアゼリという内装パネルも手掛け、キッチンや扉に使用する木目や塗装を壁や天井にも展開することができる。ボアゼリに棚板や照明を設える仕様も用意している。
Molteni
Molteni
DePa dova/アウトドア家具
Moooiのインテリア
LOEWEの照明デザインインスタレーション
フェラーリのレザーはペレ・フラウ
Cassinaのテーブルウエア
ガラスのテーブルトップ
雪の結晶
島津製作所
約60年前に家具の見本市としてスタートしたサローネですが、今では家具に限らず、インテリア小物や、テーブルウエア、石材、木材、セラミック、メラミンなどインテリアを構成する商品はもとより、車、IT、スタートアップ企業の新素材など様々な産業とデザインの交流の場としてミラノデザインウィークとして拡大の一途をたどっています。
トレンドの素材、色、触感をデザインに落とし込んだ新製品や素材、企業理念の発表の場となっていますが、その背景には環境問題などが深く関わっており、ESG(環境・社会・ガバナンス)に敏感なグローバルな視点が色濃くなってきています。
当社が様々な企業様と関りを持たせてもらう中で非常に貴重な視点であると思います。
そしてデザインには必ずストーリーがあります。
ミラノサローネを通して吸収したことを元に、時代背景、文化的背景を反映させながら、お客様にESGやデザインストーリーを意識した開発提案をしていければと考えています。