チェルサイエとマルモマック(1)

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チェルサイエとマルモマック(1)

――イタリアで“セラミックと石材”をどう見てきたか

2025年9月、イタリア・ボローニャとヴェローナで開催されたチェルサイエ(Cersaie)マルモマック(Marmomac)を視察してきました。

チェルサイエは毎年9月にイタリア・ボローニャで5日間開催されるセラミックの展示会。来場者数は9万人以上。今年で42回目の開催となります。

一方マルモマックは毎年チェルサイエと同時期に、イタリア・ヴェローナで4日間開催される石材の展示会。来場者数は5万人以上。今年で52回目の開催となります。

この2つの展示会は、建材、インテリア業界に身を置いている方であれば、毎年視察されている方もいれば、行ったことはないが名前はよく知っている、一度は行ってみたい、そう感じている方も多い、非常に注目度の高い展示会だと思います。

実際に足を運ばれた方は、膨大な展示の中から“何を見るか”を選び取るのは、簡単なことではなかったと思います。このブログが帰国後の答え合わせ、また次回視察に向けての参考になればと思います。


チェルサイエ――セラミックタイルの到達点

mooi と ABK のコラボ商品

展示会というと、新柄、新色、新技術――そうした“成果物”に目が行きがちです。

今回あらためて感じたのは、日本とイタリアの違いはセラミックに対する「思想の有無」や デザイン感覚の優劣ではない、という点です。

もっと現実的な話をすると、日本ではそもそもセラミックタイルを主力として製造してきた産業基盤が大きくありません。
その結果、セラミックは価格、耐久性、施工性といった性能を満たす建材として選ばれるケースが多く、デザインや文化の文脈で語られる機会は必然的に少なくなってきました。

一方イタリアでは、セラミックは単なる建材ではなく、美術、芸術、建築、技術の延長線上にある表現メディアとして扱われています。

ここで重要なのは、「イタリア人の能力が特別高い」という話ではありません。
むしろ決定的なのは、そこまでやることを許容する文化があるという点です。

企業である以上、コストや売上に左右されるのは当然です。
それでもイタリアでは、

  • もう一工程踏み込む
  • 説明が難しくなる表現に手を出す
  • すぐに回収できない技術を展示に持ち込む
そうした選択が、途中で止められにくい。

日本では、「そこまでやらなくても成立する」「コストに見合わない」 という判断が、早い段階で入ります。それは合理的で、間違ってはいません。

ただ、その積み重ねの結果として、トレンドを“受け取る側”になりやすい構造ができあがってしまう。

チェルサイエが単なる新製品発表の場ではなく、世界的なトレンド発信の場として選ばれ続けているのは、この「妥協しない前提」を産業全体で共有しているからだと感じました。

【今年注目されていた新作を以下に写真で抜粋】

断面プリントの施された製品

【断面プリント】 セラミックの世界は技術の進歩が速い。セラミックの断面(小口)が無機質なアルミオキサイドむき出しになるという弱点が解消できる印刷技術も確立されている。立体造作でも天然大理石と変わらない切れ目のない連続デザインが可能。大理石ではできない自由度もあるがネックになるのは価格。現在の市場価格では大理石以上の価格設定になってしまう場合も。手を出しているメーカーも限定的。
断面プリントの施された製品
マーブル柄の製品
奥行き感のあるデザインの例

【トレンドのマーブル】 光と影を巧みに操りコピープリントではない奥行感の表現を活かして、トレンドのマーブルを展開するメーカーが多い。デザインバリエーションの豊富さもセラミックタイルならでは。
奥行き感のあるデザインの例
奥行き感のあるデザインの例

【釉薬とカーテン効果】 左の写真はガラス釉薬によるグロスマット同調印刷。 右の写真はキャスティングエンボスのカーテン効果を狙ったデザイン。 いずれも光を取り込んでデザインを完成させるフェーズに入ってきており、セラミックタイルの進化が止まらない。

ハンドメイド風釉薬
ハンドメイド風釉薬
トラバーチン・ライムストーンはトレンド
トラバーチン・ライムストーンはトレンド

mooi と ABK のコラボ商品
mooi と ABK のコラボ商品
和紙を思わせるエンボス
和紙を思わせるエンボス
㎜厚のタイル/ラミナム
2㎜厚のタイル/ラミナム