2024 DESIGNART tokyo 日本製鉄

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2024 DESIGNART tokyo 日本製鉄

こんにちはTEAM建装です!

2024年10月18日(金)から10月27日(日)に開催されていた日本最大級のデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO 2024」が「Reframing〜転換のはじまり〜」というテーマで開催されたので視察してきました。

参加企業、参加デザイナーが多く、表参道・外苑前・原宿・渋谷・六本木・広尾・銀座・東京と広範囲、約100か所で開催されており、全部を見ることはできませんが(まるでミラノデザインウィークみたいです。4月のミラノで見たプロダクトやインスタレーションも見ることができます)、面白いお話が聞けた企業様があったので紹介したいと思います。 日本製鉄株式会社(NIPPON STEEL)が「ブリキのリデザイン展2024」を兜町Keshiki内 “AA”で出展されていました。

DIMENSEの出力の様子

今回「薄板営業部 ブリキ国内室 部長代理の高木 健一さん」にお話をお伺いしました。
まずは「ブリキ国内室」という部署名が気になりますね。ブリキとは 鉄に錫(すず)をメッキした物を言うそうです、初めて知りました。飲料の缶、缶詰に使われ過去には国内で年200万トンの使用量があったそうですが今はペットボトルなどに置き換わり最盛期の四分の一まで減少しているそうです。

「食と鉄」 「住空間と鉄」というテーマで、食品パッケージだけにとどまらず、住空間に錫の美しさを展開する試みをされていました。
過去に飲料、食品パッケージに使われていたブリキの意匠は塗装、印刷したものが中心でしたが、錫の銀箔のような輝きをエンボス加工することで際立たせたプロダクトにチャレンジしていました。

印刷されたブリキ缶のパッケージ
印刷されたブリキ缶のパッケージ
ヘアラインを活かした食器(プロトタイプ)
ヘアラインを活かした食器 (プロトタイプ)

非常に薄く加工ができる(0.13㎜)
非常に薄く加工ができる(0.13㎜)
ブリキのシューズボックス(プロトタイプ)
ブリキのシューズボックス(プロトタイプ)

食器、カトラリーの世界では錫の意匠性を活かした製品を目にすることが多くなってきました。その美しさをインテリアのヒントにできないかと思っていましたが、近い将来日本製鉄からブリキのインテリア商材が発売されるかもしれません。

錫の食器
和紙のようなテクスチャ
他社の錫の食器。和紙のようなテクスチャや、 不織布のようなデザイン



日本製鉄の壁面パネル(プロトタイプ)非常に薄いウォールパネル。磁石で取り外し可能。

今回プロトタイプとして展示されていたウォールパネルは、通常芯材を樹脂やアルミを使用して加飾されている(複層)のに対し、鉄を芯材にしてブリキ(錫メッキ)にすることでモノマテリアルとしてプロダクトライフが終わった際に廃材にならず完全リサイクルができるとの事。内装材のリサイクルについては業界の大きなテーマの一つです。

今回、鉄のお話を聞いて環境フレンドリーな素材であること知りました。
鉄は簡単に枯渇する資源ではなく、錆びても土に還るリサイクル率がほぼ100%に達する優れた素材です。例えばスチール缶のリサイクル率は93.5%にも上ります。また、鉄の回収・仕分けには磁石を使えるため、他の素材に比べて効率的です。
さらに、鉄鉱石を溶解する過程で発生する副産物「鉄鋼スラグ」は、セメントや路盤材だけでなく、土壌改良剤、海洋環境改善にも活用されています。これにより、農作物の成長や魚の育成にも貢献しているのです。こうした特性により、鉄の製品だけでなく、副産物も含めて、ほぼ完全なリサイクルを実現できる資源といえます。
ただでさえ枯渇する心配のない素材なのに、サーキュラーエコノミーが確立しています。

鉄が回収され、鉄鋼スラグは麻袋に入れて海中へ
鉄が回収され、鉄鋼スラグは麻袋に入れて海中へ
鉄のサーキュラーエコノミー/鉄が食も支える
鉄のサーキュラーエコノミー/鉄が食も支える

鉄という素材は建築、自動車、船舶、インフラなどほぼすべての産業になくてはならない素材ですが、同時に地球にやさしい素材なのですね。
石油由来の製品の大量生産、大量消費に懐疑的な意見が多い昨今ですが、今回我々一般消費者の手元に届く製品を日本製鉄さんでは新たに手掛けようとされています。 様々な素材の真実を知って、取捨選択しながら賢く使っていきたいものです。